親が子供を上手に伸ばす秘訣 ・・・ その2 (子どもを完全に受け入れていますか?)

前回の、「親が子どもを上手に伸ばす秘訣 ・・ ・ その1」からしばらく時間がたってしまいましたが、 まずそちらをご覧いただいたうえで、 子どもとの接し方について考えてみましょう。

私は入塾説明会のときにお母さんに、よく次のような問いかけをします。

「お産のときや、 生まれてきたときにこの子にどのようなことを願っていましたか?」

「お子さんが生まれたときに、将来、どんなふうに育ってほしいと願っていましたか?」


ほとんどお母さん方は、「無事に健康に生まれてきてほしい」 「優しくて思いやりのある子に育ってほしい」、といった類の返事しか返ってきませんし、「勉強ができる子に育ってほしい」 という返事は、今までに聞いたことがありません。当然です。それがそのときの本当の願いだったのですから。

それが、大きくなるにつれて、親はどんどん欲が出てきてしまうのです。

もっとピアノが上手になってほしい・・・

もっと勉強ができるようになってほしい・・・

もっと・・・


親が子どもに何かを期待するのは自然のことではありますが、いつの間にか、本来の願いのほかに、意識していなくても「何か」と比べてしまって、「もっと」 を要求してしまうようになってしまうのです。

そうなると、親もわが子の見方が変わってしまいます。

わが子でありながら、「欠点」や「できていないところ」 ばかりが目に付くようになります。そしてそこを「直す」べく、いろいろ注意したりするのです。 できたところ、よかったところにはなかなか目が向かず、欠点を直そうと努力してしまうのです。

そのような中で育ってしまうと、子供は、自分は欠点だらけの人間だと錯覚してしまうようになります。そして、 周りがその子に上を目指させようとしても口から出てくる言葉は、「どうせムリ」です。 そう思い込んでしまっているのです。

子供は失敗をするものです。

そしてその失敗からいろいろなことを学び取って成長していくのです。失敗とまでいかなくても、 うまくいかなかったときに、親が取る態度ひとつで子供は180度違った方向に進んでいきます。

子供が何かにうまくいかなかったときに、親がそれを咎めてしまうと、 子供は失敗を恐れ、萎縮し、失敗しない程度の努力しかしなくなってしまいます。

一方、失敗したことを親も素直に受け入れてあげ(・・・これは本当のいみでは、「まだ」失敗ではありません)、そこから「一緒に」考え、 教訓を得られるように指導していくようにすれば、子供も「失敗していいんだな」、「次は、もっとがんばってうまくやろう」 というふうにチャレンジ精神が徐々に備わってきます。

私事ですが、
2002年3月、私どもに2番目の子供が生まれました。

しばらくは上の子を妻の実家に預けることになったのですが、そのとき、出産したあゆみ女産院の先生が私たちに言われたことは、 「預けられている間、上の子に、決して、『おりこうにしときなさい』、などとは言わないように」と強く念を押されたのです。

このとき、妻も私もハッとしました。出産が近づいてきて私も妻も、まだ2歳の上の子に「おりこうさ」を求めすぎていたんだなと。 佐古先生にはしっかり見抜かれていたんですね。そして、おりこうでないときも、しっかり受け止めてあげるべきだと悟ったのでした。

また、かなり以前、テレビを見ていたときですが、ノーベル化学賞をとられた野依良治教授の話はすごく感銘を受けたことを覚えています

教授は、

「今の私を作ったのは、すべて母でした。母は私が幼少のころからいつもほめてくれました。 どんなに失敗したときもです。 私が何かしようとしてどんなにうまくいかなかったときでも、母はいつも肯定的に私を見てくれていました。 『ここまでできたのだからよかったじゃない。次にはもっといい結果が出せますよ』と。私は失敗を恐れることがなくなりました。 失敗をしてもそれを改善し努力して成功に近づけることが大事なんだと、私は母に教えられたのです。私の研究で幾度も失敗を乗り越え、 今回のこの名誉ある賞をいただけたのも、すべて母から受けた教訓のおかげだと思っています。・・・」



とかく人間は人の欠点ばかりが目につきますが、 10のうちたとえ9がよくない部分であっても、 1の長所や成果を認め、ほめてあげることが、 子供の将来にどれほど大切なことかをわかっていただけたらと思います。

学校の成績でもそうだと思います。やれ上がった、下がったとすぐに叱ってしまう前に、 プラス面をまず見てあげるようにしてみてはいかがでしょうか。子供の情緒面やヤル気を引き出すのに必ず有効に働くはずです。

ですが実際は、頭ではわかっていても、状況によってはなかなか褒め言葉すら出てこないときもあるものです。たとえそんなときでも、 「叱る時は、褒めるチャンス」 という意識を常に持って接していただければと思います。


このシリーズ、次回は「家での勉強の仕方、させ方」について考えてみたいと思います。

 

 

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